令和三年度 男木小学校入学式 祝辞

ご入学おめでとうございます!

今日から小学生ですねえ。楽しく勉強したり、遊んだり、給食を食べたりしましょう!

でもさあ、困ったことがあったらどうしましょうか。悲しいときはどうしましょう?やりたいことがあって、なにかお話したいときはどうする?

はい。困ったこと、悲しいこと、やってみたいことがあったら、大人に相談してください。学校の先生方と地域のおじさん、おばさん、おじいちゃん、おばあちゃんたち、それからお父さんやお母さんは、みんなが幸せに暮らして、大きくなるのを手伝うチームなのです。

つまんなくなっちゃったらいいましょう。悲しくなったら教えてください。給食が食べられなかったら、言いましょう。やってみたいことがあったら、教えてください。お願いします。では、今から、大人とお話します。

では、大人の方々に向けて。

親と学校、地域と学校の風通しのよさについて考えています。

私たち保護者も一緒に教育について考えてみようということで、学校、保護者、地域の人たち、香川大学の大学院生が集まって進めているのが、『男木島、未来の教育プロジェクト』です。授業の時間を使って、妻の真理子さんがファシリテートしながら、地域の大人たち、学校の先生、用務員さんの協力を得て、大学のお姉さんと一緒に子どもたちが動き回り、1年かけて桜の木がある裏山の空き地に丸太のブランコが出来上がりました。あれこれ試したり失敗したり。企画会議、反省会、学校との相談と、私も見ていて大変そうでしたが、それはコミュニケーションの繰り返しでした。風通しはコミュニケーションの量なのかもしれません。

めおんの出る港の前で、春、夏、秋の放課後、子どもたちが遊んでいるのもなかなかいいものです。小学生や保育所の子供たちが自転車に乗ったり棒を振り回したりして遊んでいます。親たちも立ち話をしたり子供たちと軽く運動をしたり、道ゆく人たちと話をしたりします。

4時55分ころになると、最終の5時のフェリーに乗って高松に帰る先生方が通りかかり、親と子と先生、地域の方々が全部揃って、一瞬だけ話をしたり挨拶をしたりします。子供の面白かった話をしたり、ちょっとした相談をしたり、冗談を言い合ったりします。会釈をするだけでもだいぶ違います。風通しのよさは、すれ違う頻度かもしれません。

社会があって、子供たちがいて、大人たちはそれぞれの仕事や生活を頑張りながら、なんとなく連帯して子供達を見守り、面白いこと、学び、美しいことを子どもたちの毎日に手渡していく。

これってもしかして、人類発祥以来の理想なんじゃないか。そこを目指して文明や文化は変わってきたのではないか。と思います。

残念ながら、日本や世界では、この理想はこれまでも、今でも、実現されていない。領土争いがあったり、狩、漁、畑、ものづくり、仕事があって忙しかったり、それでも貧しさがあったり、病気が流行ったりしてできないんです。そうだったらいいのになということを忘れたことにして、大人がばらばらになって、目の前の課題に取り組んでいるうちに、子供たちは成長してしまう。そういう世界ではないかと思います。

この学校はどうでしょうか。男木島にも大変さがありますが、この学校には、子どもたちもみんなも楽しく過ごす何年かの時間を作れる環境があります。私たち親も近所の人たちも少しずつ話し合う準備はできています。

先日、6名の先生が男木島を離れ、新しい学校で働くことになりました。男木島は、新しい先生方を迎えました。

『男木島、未来の教育プロジェクト』が始まった時、私が前の溝渕校長先生にリクエストしたことは「せっかく少人数なので、2学期までに勉強を全部終わらせていただいて、3学期はなんか面白いプロジェクトとかやってくれませんか?」でした。だいぶ無理がありまして、今では笑って反省していますが、あの時は、学校が何を考えているのか、何に困っているのかが分からず、先生たちがどんな人たちでどんな風に子供たちを見ているのかも知らなかった。結果として、そんな無茶な要望を真顔で言ってしまったわけです。風通しが悪いということは、相手を知らず、結果信頼できていないということだと思います。話をしてみれば、「あれ?この先生は僕の子供について、僕が知らないことを知っているぞ。そして、じっくり向き合ってくれているんだな」と思うわけです。

というわけでみなさん!風通しのよいチームを作っていきましょう。お互いのことをよく知ったり、話し合ったり、ちょくちょくやっていきましょう。先生方、みなさん、よろしくお願いします。

はい。長くなりましたが子供たち、大人はみんなで応援しています。楽しんでください。

男木小中学校PTA会長 西川伸一

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