田舎暮らしの初期費用と生活費、 男木島編。「家賃の前払い」で暮らしを選ぶ。

@shinichiN です。こんにちは。

都会から引っ越しをして田舎に暮らす。そのコストはどのくらいになるのか、男木島という香川県高松市の少し北、瀬戸内海の小島に今年3月から暮らし始めた僕の家族を例にとって書いてみたいと思います。目次としては、

  • 家族構成や暮らし方などの前提
  • ランニングコスト: 日々の生活費
  • イニシャルコスト(初期費用): 引っ越しと住み始めの環境整備にかかったお金
  • 考察

の項目について書きたいと思います。まず、うちの特殊事情を含んだ金額をそのまま出して、その後、より参考にしやすい数字を出すために一般化された金額についても考えてみました。

最後の考察のところでは、ランニングコストと初期費用の関係=「家賃の前払い」という考え方について書きました。ここがメインのポイントです。田舎に引っ越すならこの考え方を持つことは必須なんじゃないかなぁと思います。

移住そのものについては、ポッドキャストでも発信しており、今後こうしたお金の話についても話したいと思っているので興味を持たれた方は登録してみてください。

男木ラジオ 瀬戸内海の小島に暮らす
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家族の暮らし方、今住んでいる島について

さて、田舎で暮らすと言っても、ここは島です。島で暮らすといっても、どこの島なのか、家族構成や暮らしの様子はどんななのかによって、使うお金の額はだいぶ違ってきます。まずは我が家の前提条件は以下のようになっています。

家族構成は夫婦と子ども二人

両親と子ども二人の四人家族です。両親ともに在宅で仕事ができる職業(ウェブサイトの制作業)をしています。子どもたちは7歳と4歳で、上の子は小学校へ、下の子は保育所へ通っています。男木島には、中学校まであるので、子どもたちは15歳まではここにいることができます。

どこのどんな島なのか

瀬戸内海にある男木島です。住所は香川県高松市男木町で、人口は住民票ベースでだいたい175人(本当に日常をここで過ごしている人はだいたい100人位じゃないかな)。見た目はこんな感じをしています。

こんな見た目をしています。
男木島はこんな見た目をしています。

高松の港から「めおん」というフェリーに乗って40分。静かで美しい瀬戸内の海を眺めたり客室でテレビを見たり、ゴロゴロしたり、途中女木島という島を経由しつつ、移動が可能です。

高松港と男木港を、1日に5回往復するフェリー「めおん」。
高松港と男木港を、1日に5回往復するフェリー「めおん」。外を眺められる甲板と、座ってのんびりできる客室があります。

通常の田舎と違って、車でいつでも買いものや用事をしに行けるわけではないというのが島の特徴です。が、その移動に関しても40分しかかからないので気が向いたらパッと行けるというところは、男木島のお得ポイントで、他の島とは違うところかもしれません。40分というのは、ひと仕事集中するにはちょうどいい時間です。

男木島にない商店やサービス

この島にないものと言えば、スーパーマーケットやコンビニ、夜やっている飲食店などがありません。クリーニング屋さん、マッサージ店、ドラッグストアなどのサービス業のお店もないです。島内で買い物ができる場所と言うと、農協が小さい商店を出していて、本土よりも値段は若干高くなるものの、卵や牛乳、ちょっとしたお菓子などは買うことができます。

品揃えはそんなによくないけど、困ったときに助かる農協さん。
品揃えはそんなによくないけど、困ったときに助かる農協さん。

というわけで週に一度は高松まで出かけていって買い出しをします。

高松の港についてから徒歩3分くらいのところにあるスーパー。JR高松駅に隣接しているスーパーなだけあって大きいです。
高松の港についてから徒歩3分くらいのところにあるスーパー。JR高松駅に隣接しているスーパーなだけあって大きいです。

男木島島民の強い味方。Amazon とクロネコヤマトの宅急便

こちらに引っ越してきてから、Amazon.co.jp での買い物の金額がすごく増えました。それも、書籍ではない日用雑貨的なものや食品が増えました。クロネコヤマトの宅急便で発送されるものは、家が島内のどこにあっても軒先まで持ってきてくれるので大変便利です。そうなると、米、パスタ(とそのソース)、水、ビール、油などの重たい食材関係、トイレットペーパーや洗剤などの日用の消耗品は Amazon になります。

暮らしの様子

うちは都会の生活を抜けきれていない、消費量が多いタイプと言えると思います。男木島にはこの数年で30人以上が移住してきているのですが、人によっては畑をきちんと整備していたり、物々交換(あるいは物とサービスの交換)が頻繁にあったりして、圧倒的に食費を抑えられる家庭もあります。うちのように、冷蔵庫の中は都会の家とあんまり変わらないという家庭もあります。

外食については、レストランや居酒屋でなどの外食は都会に比べて少なくなります。高松へ買い出しに行くと、少なくとも2時間は滞在するのでその間にお昼を食べたりお茶をしたりということで外食の機会があります。最近の僕たちは、男木島図書館という私設の図書館で「ダモンテ商会」というカフェが始まり、うちはほぼ毎日そこでお昼ごはんを食べています。

図書館に併設されいているダモンテ商会のカフェで食べられるご飯。うますぎやばい。
図書館に併設されいているダモンテ商会のカフェで食べられるご飯。うますぎやばい。

僕の朝ごはんは、目玉焼きにコーヒー、野菜ジュースです。家族はパンも食べます。昼は図書館に併設されているダモンテ商会でランチ、夜は家でいわゆる普通の夕飯(パスタとか肉じゃがとかカレーとかおでんとかそういうの)を食べています。

朝食のジュースのために、バナナは買い出しの度に買わないといけない。あと牛乳も。
朝食のジュースのために、バナナは買い出しの度に買わないといけない。あと牛乳も。

平日は朝と夜を家で食べ、昼はダモンテ商会にお世話になり、日中は基本的には家で仕事をしていて、子どもたちは学校と保育所に通っている。ときどきフェリーに40分揺られて高松の本屋さんやカフェへ行ってそこで仕事をしたりもする。週末は高松へ家族で買い物に行き、ちょっとご飯を食べたりお茶をしたりする。そんな日常です。

光熱費

光熱費についても島だと事情が少し違って2割増しくらいになります。電気代は、お湯を夜間電力を使って沸かしておき、それを昼間に使うので町での生活よりも少し高くなります。また、気密性、断熱性に劣るのが古い家なので、冷暖房にも通常よりもお金がかかります。また、現在、在宅で仕事しているので、冷暖房も通常よりもかかります。ガスは都市ガスはなくプロパンなのでこれも高いです。島に渡るための輸送費もあります。最後に、浄化槽の点検費用、年に数回薬剤を追加するのに作業費、交通費がかかります。

日常の生活費はいくらか。その内訳は。

では、そんな前提を元にすると、男木島の我が家の生活費はどうなるのか、以下に列挙してみます。

費目 金額 備考
食費 ¥34,000 買い出しで7,500円*4回/月 = 30,000円
Amazon で購入している食材 = 4,000円
外食費 ¥30,000 お昼ごはん500円*2人*5回/週*4週 = 20,000円
高松でちょっと外食 3,333円*3回 = 10,000円
光熱費  ¥20,000 電気 1.2万円
ガス 3,000円
水道 2,500円
浄化槽点検 ?
交通費 ¥8,000 めおん往復島民料金690円*2.5人*4回/月 約7,000円
ときどき電車 190円*2人*3回 約1200円
学費・保育料 ¥32,500 保育料 27,500円
小学生がなんだかんだ 5,000円位
生活用品代 ¥3,000 ティッシュや洗剤、ゴミ袋
家賃 ¥0 あとで述べる理由によりゼロ円です。
通信費 ¥30,000  iPhone 2台、iPad 1台、WiMAX2台

というわけで、とりあえず、157,500円/月となりました。ちなみにいま冬。灯油のお金が半端ないので気密性をあげるなどの工夫をしていますが、冬期はここに月間5千円から1万円ほどの灯油代が追加されます。灯油代は島で買うと倍くらいの価格なのでやばいです。

灯油ストーブ。このタイプはあたたまるけど燃費が非常に悪くて大変。最近、普通のファンヒーターも買うことになってしまった!
灯油ストーブ。このタイプはあたたまるけど燃費が非常に悪くて大変。最近、普通のファンヒーターも買うことになってしまった!

節約したらどこまで生活費は小さくなるか?

それでは、もっと少ない金額で男木島で家族4人で暮らすことはできるだろうかということを考えます。つまり、家族四人連れがこの島に引っ越してきた場合、最低の金額はいくらくらいなのかを出してみようというわけです。以下に、節約する方法とその金額を挙げてみました。

  • 外食費を全カットして、外食していた分購入するべき食材が増えると考えて、-30,000円 +5,000円 で合計 -25,000円
  • 野菜を自分たちで作ったりお魚を何かと交換したりして食費を減らして、-8,000円
  • 通信費、DoCoMo 回線をやめてしまってMVNOに移行、WiMAXも解約してテザリングでなんとかする。-20,000円。

というわけで、5.3万円を浮かせることができそうです。うちは今のところ移行はしないですが、104,500円で暮らせそうなことがわかりました。子どもがいない夫婦であれば、学費関連がなくなり、食費が少しは減るので、7万円もあれば暮らせます。

やはり、家賃がゼロであるところがかなり大きいですね。

引っ越しと住み始めの環境整備にかかったお金はいくらだったか。

さて、月に10万円から15万円で一家四人が生きていけることがわかりました。では、この生活を始めるまでにどのくらいのお金がかかったのかを出してみたいと思います。初期費用はいくらだったのか。

僕たちの場合、以下のような特殊性があり、一般的に使える便利な数字とは少し違っています。

  • 移住前の居住地がバンコクだったので引っ越しにすごくお金がかかった
  • 家の掃除が普通の古民家移住よりもハード気味だった
  • 家族連れだったので水回り、特にトイレにお金をかけた

そこで、まずは私たちの場合の金額を(せきららに)出したあと、バンコク的な要素を外したり、より一般的な住宅だったり、どこまで切り詰められるかを考えたりして、一般化をしてみようと思います。

タイから男木島への引っ越し

私たちの引っ越しはタイのバンコクからの引っ越しだったのでその分もかなりお金がかかりました。

バンコクのコンドミニアムをこんな感じで出発しまして、、、
バンコクのコンドミニアムをこんな感じで出発しまして、、、
羽田を経由して、高松空港へそのまま行き、
羽田を経由して、高松空港へそのまま行き、
男木島に到着!荷物が沢山運べるプランの航空券代金4人分で283,620円かかりました。
男木島に到着。荷物が沢山運べるプランの航空券代金4人分で283,620円かかりました。

この引越の代金は、東京からだとがくんと減らせる部分です。荷物は上記のものだけではなく、船便という、ゆっくりだけど安くなる国際郵便であとからたくさんやってきました。

船便でやってきた荷物。資料、服、お雛様セット、おもちゃ、食器など。
バンコクから2ヶ月くらいをかけて船便でやってきた荷物。資料、服、お雛様セット、おもちゃ、食器など。289,747円かかりました。

家の整備にかかったお金

次に家について。私たちは家賃がゼロ円の賃貸です。私たちが住まわせてもらっているのは、平屋の一軒家、大きい納屋、小さい倉庫、庭が2つという場所です。また、男木島のわりと高いところにあり、坂道を10分登り続けると到着します。また、車でも入っていける場所に立っています(重要。車が入っていけない場所だと輸送コストが上る)。

家の外観はこんな様子です。娘が掃除をしています。
家の外観はこんな様子です。娘が掃除をしています。

この一軒家は3年ほど前から空き家になっており、物がたくさんそのまま置かれている状態でした。冷蔵庫の中身、洋服ダンスの中身、書類、賞状、子どもたちの教科書、食器など、ほとんどすべてが3年前に空き家になったときの状態のままでした。築年数は少なくとも50年です。50年以上の間、家族が暮らして、子どもたちが育って、子どもが独立して最後はおばあちゃんが一人で暮らしていた、その歴史が積もっている家となっていました。

私たち一家が貸していただけるということになった際に、仏壇や重要な書類、その他貴重品の整理など、できるところはやっていただいて、その後のことはすべてこちらに任せてもらうということになりました。お着物がいくつか残っているということ、ひょっとするとどこかから刀剣が出てくるかもしれないと聞いていたので、そうしたものや、整理中に出てきた書類・写真などは取っておいて、次に大家さんに会った時にお渡ししました。

人様が生活されていた母屋の方を載せるのもよくないので、納屋の方を。母屋は、古いテレビやタンス、戸棚、冷蔵庫などなどでした。
人様が生活されていた母屋の方を載せるのもよくないので、納屋の方を。

母屋からは、古いテレビやタンス、戸棚、冷蔵庫などなどを出しました。六畳間2つ、四畳半3つ、キッチン、トイレ、廊下から2トントラック2台分は出しました。家から出すだけではなく、島からも出します。家庭ごみの範疇を超えるので、産廃処理のお金を出します。また、人手と時間が限られていたため高松市内の業者さん2名に2日間来ていただきました。これに 337,600円かかりました。

浄化槽の設置

次に浄化槽です。汲み取り式だったトイレを変更し、家から出るすべての排水がバクテリアなどに分解されてきれいになるようにしました。

Before の状態はこのような感じ。雑草が成長しきってほぼ木になっている。
Before の状態はこのような感じ。雑草が成長しきってほぼ木になっている。
After はこのような様子。四角いコンクリートで真ん中にマンホールがあるところの下に浄化槽が埋まっています。
After はこのような様子。四角いコンクリートで真ん中にマンホールがあるところの下に浄化槽が埋まっています。150万円かかり、30万円が行政からの補助金で戻ってきました。

リフォーム

引っ越しをしてくる前、バンコクにまだ暮らしている間に、リフォームを行いました。ベコベコになってしまっている床を直したり、だめになってしまっている畳を直した他、四畳半をひとつ畳から床に変更して洗面所兼脱衣場にしました。子供部屋の床、シンク、トイレなどの整備もリフォームでお願いしました。また、電気屋さんに来てもらって漏電の検査やコンセントの追加をしてもらいました。これらの費用として、1,242,000円がかかりました。

何をするにも送料が余分にかかる

島の引っ越しで、本土(?)と違って余分にかかるお金として、送料があります。高松の港から男木の港までの運賃、いわゆる離島料金部分です。たとえば通常の引っ越しで15万円がかかるのであれば、2万円くらいは余分にかかります。他にも、浄化槽の設置も通常の田舎であれば100万円弱で済んでいるはずです。浄化槽自体、穴を掘るためのユンボ、道具や人が島まで来るための軽トラの輸送費に、それぞれ万単位のお金がかかります。リフォーム工事をお願いした時にも余分な交通費や送料がかかります。自分で修繕することにしたとしても送料が、買い物料金の1割増しくらいでかかります。

西川家の移住に関する初期費用

整理すると、私たちの場合にかかったお金は以下です。

費目 金額 備考
荷物引っ越し ¥289,747 バンコクからの船便
飛行機 ¥283,620 バンコクから羽田経由で高松まで4人分
浄化槽の設置 ¥1,200,000 ほんとは150万円で30万円が補助金で戻った
ゴミ捨て ¥337,600 コンテナ2台、片付け業者さん2名*2日
産廃処理費用、軽トラの移動費など
家の修繕 ¥1,242,000 トイレ、キッチンの床とシンク
4畳半の床張り*2と洗面台設置
民宿の宿泊 ¥50,000 島到着後、しばらく民宿に泊まりながら家を準備
ムカデ駆除 ¥30,000 これは格安
購入家電・家具 ¥340,000 冷蔵庫、炊飯器、洗濯機、暖房器具、布団他

合計は377万2,967円でした。

初期費用を抑える方法と金額のレンジ

では、一般化を目指してここから引き算できることを列挙してみます。

  1. バンコク系(船便と航空券)を引いて、国内引越の相場(非繁忙期,家族,500km以上)のに差し替える
    – \289,747 – \283,620 + \200,000
  2. 家の修繕を自分たちでやることにして材料費、設備費、運賃のみにしてみる
    – \1,242,000 + \250,000
  3. 家の準備をしつつ住んでしまうことで民宿での宿泊をなくす
    – \50,000
  4. 冷蔵庫や炊飯器などは国内引越なら持ってる
    – \340,000
  5. 浄化槽ではなく汲み取りのままにする
    – \1,200,000
  6. ゴミを業者さんに頼まず、すべて自分たちで出すことにする。あるいは家が最初から綺麗だったと考えて、一般的な掃除のお金に差し替え
    – \337,600 + \30,000

3772967-289747-283620+200000-1242000+250000-50000-340000-1200000-337600+30000 = 510,000 となって約50万円となります。

つまり、

  • 家族四人が東京からの引っ越しで
  • 汲み取り式のトイレのままにしつつ(あるいははじめから水洗だったとして)
  • ゴミがほとんどない家に住むことになり
  • 25万円ほどをかけて自力で修繕をして
  • 家電も全部持っていた

というパターンであれば、50万円で引っ越しが完了できます。オプションの有り無しで2パターンに整理すると、以下のような感じです。

費目 金額(低い) 金額(高い)
引っ越し ¥200,000 ¥200,000
浄化槽の設置 0 ¥1,200,000
ゴミ捨て ¥30,000 ¥337,600
家の修繕 ¥250,000 ¥1,242,000
民宿の宿泊 0 ¥50,000
ムカデ駆除 ¥30,000 ¥30,000
合計 ¥510,000 ¥3,050,600

切り詰めれば50万円、お金をかけてしまうと300万円。この金額は、だいたい正しいラインを捉えられているような気がします。

(ちなみに私たちは、全額を自分たちだけで出したのではなく、荷物の船便と浄化槽の設置の費用について両家の両親からのサポートがありました。浄化槽については「うーん高いからやらなくてもいいかも」と言った僕に対して父から「君のところに来てくれた嫁とかわいい孫達の暮らしにそれはダメ」というイケメン語録もありましたことをご報告致します)

さて、この表から分かることは、都市から都市への引っ越しにはない追加の費用が必ずかかってくるということです。水回りやゴミ出し、老朽化した住宅の修繕、ムカデ。僕たちのケースだとこれだけでしたが、別の田舎、別の島、別の家であれば、もしかするともっとあるかもしれません。あるいは、僕たちにもっとお金があれば、もっとリフォームすることもありえたわけです(断熱とか耐震とかかっこいいお風呂場とかシステムキッチンとか壁の色とか畳の張替えとかもっといろいろ)。

なので、この金額ももっと安い場合もあるだろうし、もっと高いことも十分あるだろうと思います。

ランニングコストと初期費用の関係=家賃の前払い

西川家は、上の最後の表でいうところの金額が高いオプションを選び300万円をかけました。かつ、バンコクからという事情で船便や航空券代金、持っていなかった家電・家具にさらに100万円がかかっています。

ところで、浄化槽を設置したり家を綺麗に修繕すること、庭も管理して綺麗に使う = 家の寿命が長くなるということと、家賃が発生しないということはセットであると、僕は考えています。住まわせてもらっているのだからきちんと手入れをして、家をきれいにしておく。空き家になって朽ちさせて、処分に困るような状況にはならないようするということです。自分たちが快適に暮らしながら、大家さんの家も長持ちするようにする。

前払いをした家賃と捉えるとどうでしょう。400万円が引っ越しと生活スタートまでにかかったわけだけれども、たとえば10年住むと仮定して分割すると、年間40万円、月にすると33,333円になるということです。これが前払いしている家賃。20年住むのであれば、16,666円。

あるいは、家にかけているお金というのはゴミ(33万)と浄化槽(120万)と修繕(120万)の費用であろうということで、分子を270万円にすると、年間27万円で月額22,500円。

いずれにしても2万円ほどの家賃になる計算です。今の島の賃貸の価格は1万円から2万円が相場ですので、ちょうど妥当なところにおさまっています。それに一番最初に計算した、日々の生活費である15万円を足すと、生きていくのに必要な最低限のお金が17万円となります。共働きで子どもが二人いる家庭としては、なかなか安い部類に入ることができます。

いつお金を使い、何を選んでいるのか

ここまでに書いてきたことをまとめると、以下のような言い換えをすることが可能です。つまり、最初の400万円を家賃の前払いと捉えることによって、都会での暮らし方と変わらないお金(かそれ以下のお金)で、島で生活することができる。

かなり大きな出費がかかりますが、最初にお金を使っているだけで、長い目で見るといい感じにおさまっている。これは移住を考え始めたとき、お金が出ていくときに計算をしていくときの大きな発見でした。

貯金や教育、その他活動費に回す

低くなった生活費をベースにして、収入を落とさないようにすれば、初期の投資をまず回収して、その後は貯金や教育のお金に回していくことができそうです。たとえば、海外のサマースクールに夏休みに送り込むだったり、ものづくりのための道具は子どもにあまり制限を設けずに与える、などです。

今はまだ回収段階なのでちょっと大変ですが。。。

まとめ

私たち4人家族がバンコクから男木島に引っ越してくる時にかかった金額、現在の男木島での暮らしの生活費、それぞれうちの家に限らず通常だったらだいたいどのくらいの金額になるのかを見てきました。

移住の初期費用は、切り詰めれば50万円、お金をかけてしまうと青天井、西川家の場合は300万円(と海外事情で+100万)でした。生活費は、夫婦二人暮らしなら7万円あれば十分で、子どもがいて外食をかなりしたとしても17万円くらいでした。

分かることは、引っ越し・移住時の費用が想像よりも大きくなりがちなことが多いであろうということ。一度住み始めてしまえば(家賃がすごく下がれば)生活費は大きく下がるということ。これを踏まえて、家賃の前払いをしているようなつもりで初期投資を行うと、わりと住む場所、環境は選ぶことができそうだということでした。

以上、私たちが島への移住をした時に、こんな感じでじっくり考えるリアルな数字がみたいな、と思って書いてみました。みなさんの参考になれば嬉しいです。

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